「な…っ」
さっきから喋らなかったのは、笑いを堪えてたってこと!?
お腹を押さえ、目尻の涙を拭っている長瀬。
私は真っ赤になって、そんな長瀬を涙目で睨みつける。
「センパイってさ、誰かれ構わず説教するよね」
「あ…あれは説教なんかじゃないでしょ!?!?」
「んな怒んなって。褒めてんだから」
「これのどこが褒めて……」
–––––グイッ!
唐突に抱き寄せられる体。
きつく長瀬の腕の中に拘束される。
少しの間、まるで時間が止まってしまったみたいな静寂。
遠くで流れる石焼き芋のメロディーと、鳥が歌う声だけが聴こえてくる。
「……長瀬?」
顔を上げようとするも、後頭部に回された長瀬の手に力がこもり、びくともしない。
「そのままで聞いて」
「う…うん…?」
って言っても、こんな状況で何をどう聞けと……。
「……センパイ俺さ、拗ねてたのかも」
「え?」
「最初は俺に遠慮する親見て息苦しくなって、反発する気持ちで悪いことしてた。けど、そんな俺見ても何も言わない親に、余計に腹立って……。今思うとすげぇだせーけど、ガキみたいに拗ねてた」



