「長瀬はお母さんに“ごめんね”って言葉じゃなく、“ありがとう”って言ってほしいんだと思いますっ!!!」
だってそうでしょう?
長瀬はきっと、お母さんが悪いなんて思ってない。
ただ、“ここにいていいんだよ”って、きっとそうやって言ってほしかったんだ。
どんなにわがまま言ったって、どんなに悪さをしたって、“あなたの居場所はここにあるよ”って
“ありがとう”って、きっとそういう言葉。
長瀬のお母さんは瞳を揺らすと、何かを決心したように息を吸い込む。
それから長瀬をまっすぐ見据えて。
「そうね。渉くん、ありがとう!」
そう言って、はにかんだ。
長瀬は、驚いたように目を見開く。
「それから渉くん。これからはもっと家族の前に顔を出しなさい。あなたも家族なんだから。私達は歩もあなたもとても大切なんだからね」
そんなお母さんの言葉からは、長瀬を大切に思う気持ちがひしひしと伝わってきて。
きっと、長瀬の心にも響いている。そんな気がした。
すると、それまで黙っていた長瀬が少し照れくさそうに頭の後ろをかく。



