「これからも、あの子をよろしくお願いします」
そう言って、とても穏やかな笑みを浮かべた。
「こ、こちらこそっ!」
長瀬のお母さんは、こんなにも長瀬のことを想っているのに、このままでいいのかな?
長瀬はお母さんをどう思ってるんだろう?
もしも、長瀬が何か誤解しているのなら、このままなんて悲しいよ。
何で想いを伝えるって、こんなにも難しいんだろう?
“好き”だとか、
“大切”だとか、
すごくシンプルなことなのに。
コトンとお皿を置く音で、はっと我に返る。
「センパイチョコのケーキでよかった?」
長瀬が、私の分のデザートを私の前に置いたんだ。
長瀬の顔を見たら、何だか無性に泣きたくなった。
それを隠すように「うん。ありがとう」と言って、私はそれを口に運んだ。
*
「今日は楽しかったわ。歩も喜ぶし、咲希さんまた一緒に食事でもしましょうね」
「はい!ぜひ!!」
ホテルを出て、私達はそのまま帰宅するという長瀬のお母さんと歩くんを、車が置いてある駐車場まで見送りにやってきた。



