「ガキかよ」
そう言って、呆れたように笑みを浮かべる長瀬に、心臓が高鳴り出す。
「あ、う、あ…ありがと……」
熱くなる顔を背け、そうお礼を言ったけど、返事の代わりに頭をなでられてしまった。
もうこれじゃどっちが年下か分からない。
「つか、歩のその口はギャグかよ」
「何がぁー?」
「何がじゃねぇ。ほら、口かせ」
パスタのソースでベトベトになった歩くんの口は、まるでオレンジの泥棒ヒゲみたい。
そんな歩くんの口を長瀬がペーパーで拭ってあげているその光景がすごく微笑ましくて、温かい気持ちで見守っていると、ふと視界に入った長瀬のお母さんに満面の笑みを向けられた。
ん??何だろ??
その後、何事もなかったかのようにお母さんは食事をしていたけど、長瀬との会話はやっぱりほとんどしていなかった。
食事が終わり、パンパンになったお腹を見て、いくら何でも食べ過ぎた…と軽く後悔していると。
「トイレ行きたい」
と、歩くんが言葉をこぼす。
「ちょっと待ってて、ママと行こっか」
「あー、いい。俺も行くから連れてく。ついでに何か甘いもんとってくる」
「ごめんね。渉くん。よろしくね」



