なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。


窓際の6人がけテーブルに私と長瀬が隣同士、私の向かいが歩くん、長瀬の向かいがお母さんだ。


「ふふふ。ほんと歩が懐くなんて珍しいわ。渉くんといい、DNAがそうさせるのかしら。ね?渉くん」


長瀬のお母さんが、今日始めて長瀬に話をふったもんだから、思わずドキリとしてしまう。


長瀬はというと……。


「………どうだかね」


視線一つ合わせずにこの反応。


え。


それだけ!?素っ気なっ!!


気まずい空気が流れて、チラッと長瀬のお母さんを盗み見ると、お母さんはどこか寂しげな笑みを浮かべて、食事を再開した。


歩くんの言ってた通りだ。


長瀬はやっぱり、お母さんと話をしたがらない。


じゃあ、今日は何でこうなった?


お母さんに誘われた時、断れば良かったんじゃないの?


長瀬の思考がいまいち読めない。


まぁそんなの、今に始まったことじゃないんだけど。


空気の重たさで、いまいち料理の味が分からなくなっていたら、「センパイ」と長瀬に呼ばれる声がして顔を向ける。


すると、長瀬の手がのびてきて。


「ソースついてる」


そう言って、私の口の端を親指で拭った。