「んな格好して…。今日一日、俺に食べられないように気をつけた方がいいよ?」
強く腕を引かれ、前のめりになる私に長瀬がそう囁く。
「なっ……!なにを言って……!」
真っ赤になって顔を上げると、長瀬が満足そうに笑みを浮かべてるから、不覚にも胸が高鳴ってしまった。
「んじゃ、行こっかセンパイ」
*
落ち着かない。
非常に落ち着かない。
恋人同士ってみんなこんなことしてるの?
さっきから、私の意識はある一点に集中していた。
ホテルまでの道中、人混みの多い街中を進むのに、当たり前のように手を繋いできた長瀬。
長瀬とまともに手を繋ぐのは、大晦日の日以来なわけだけど、あの日とはまた様子が違うから厄介だ。
これが世に言う恋人つなぎってやつか……。
大晦日の日はこんな繋ぎ方じゃなかったけど、もっと普通でいられたのに…。
今はドキドキしてどうにかなっちゃいそう。
ああぁ手のひらに汗かいてきたぁぁぁ!!
長瀬とつないだ手が離れたのは、ある有名ホテルのロビーに入ってからだ。
「うわぁ!立派なホテル…!中に入ったの初めてだ」
「そう?まぁ、こういうことでもない限りそう来ねーよな」



