「色気ねぇ声」
「あんたが急に耳に息吹きかけるからでしょうが!!!!」
「無視すっからわりぃんじゃん」
「何度も何度もしつこいからでしょう!?」
この有様だ。
てか、しまった!!
無視を決め込むつもりが、つい反応してしまった!!
私達の側を行き交う生徒達が「アレが噂の…!」とひそひそ話をしながら足早に通り過ぎていく。
ああぁ…違うんです。
違うんですって!そこのお嬢様方…!!
あれから事態は収束するどころか、この前の公衆の面前での告白といい、最近の長瀬の行動のせいで、余計に尾ひれはひれをつけて噂が暴れまわってしまっていた。
ちまたでは、
“美化委員をやってるヤクザの娘が、学校いちのヤンキー長瀬を殴って手懐け、ヒールのかかとで踏んづけてる”
なんて、今すぐにでも出家して山に篭って誰にも気付かれずに朽ち果てたいってくらい、耐え難い噂になっているのだとか。
これは今朝、茉莉に聞いた話。
こいつがこんな調子では、私は卒業するまでこのとんでもない噂に苦しめられる事になる。
そう思うと、恐ろしくて寒気がしてくる。



