それを見て「信じられない」と呟いた教頭先生の視線が、長瀬とテスト用紙の間を行ったり来たり。
恐らく、あれは長瀬のテスト用紙だ。
「教頭先生は知りませんかね。長瀬くんはこう見えて首席入学なんですよ」
「「え!?!?」」
思わず教頭先生と声を上げ、顔を見合わせてしまった。
首席入学って……つまり、一昨年の入試でトップだったってこと?
この辺りでも、そこそこレベルの高い生徒が集まるうちの高校に……首席入学……?
何から何まで驚くことばかりで、これは何かのドッキリなんじゃないかとすら思えてくる。
ドッキリ大成功ー!とか言って…テッテレーって誰かが現れてくれた方が、まだずっと現実的だ。
絶句する私達をよそに、今まで黙っていた長瀬がゆっくりと口を開いた。
「今までは、誰がどうなろうと…自分がどうなろうと、何とも思わなかった」
長瀬……?
長瀬の黒髪の間から微かに耳が覗いている。
いつもしていたピアスが、一つもついていない。
「周りも、自分も、ホントどうでもよくて。つーか、俺の周りクソみてーなやつらばっかだったし…。まぁ、大概に俺もクソだから、そういうとこのが性に合ってたとは思うけど…。でも、何しててもクソつまんねーなって思ってて」



