私は、まだ何か言いたそうにしている教頭先生にお辞儀をしてから、同じように校長先生にもお辞儀をして「失礼します!」と言ってすぐに長瀬の後を追った。
「長瀬っ!長瀬待って!!」
ずいぶん先を歩いていた長瀬の姿をようやく見付けて呼び止める。
「何?」
「何じゃないよ!何であんなこと言ったの!?あれじゃまるであんたが悪者じゃない!!」
「…別に」
足を止めず、私を見ず、ずんずん先を行く長瀬。
何なの?
何怒ってるの?
こういう時の長瀬は、何を考えているのか全く分からないから困る。
「別にじゃなくてっ!!ああいう風にされて、私が何も思わないと思ってんの!?」
「……」
「あんなことされたって全然嬉しくない!!もっと他に方法が…」
–––––––––ダンッ!!
長瀬の手が、顔の横を通って私の後ろの壁を突く。
その衝撃に、私は思わず絶句して固まった。
ドクドクと心臓が早鐘を打つ。
遠くで聞こえる野球部のかけ声だけがやけに響いて聞こえてきて、長瀬の後ろの窓から差し込む、既に茜色に染まり始めた陽の光が長瀬の顔に陰りを作った。
「じゃあ何?」
「……え?」
「他にどんな方法があった?」



