進学校であるうちの高校は、それなりに校則が厳しい。
男女交際を禁止した校則があるわけじゃないけど、教頭先生はそういうことにかなり否定的だって聞いたことがある。
しかも、その相手が校則違反の塊、ヤンキー長瀬だ。
絶対にただで済むはずがない。
「花枝さん!」
思った通り。
長瀬への説教を諦めた教頭先生の怒りの矛先が私に向くまで、そう時間はかからなかった。
「は、はいっ!」
「あなた確か、指定校推薦で合格していたわよね」
「あ…は、はい。お陰様で…」
「成績優秀、委員の活動にも積極的。生活態度も至って真面目。優等生の手本のようなあなたが、こんな風に不良で名高い生徒と交際をするだなんて!どういうことか説明なさい!」
「は、はぁ…」
あまりの形相に、蛇に睨まれたカエルのごとく固まってしまう私。
そんな私を見兼ねてか、今まで黙っていた校長先生が「まぁまぁ」と言って教頭先生をなだめてくれた。
「花枝さん」
「は、はいっ……」
そういえば、校長先生とこんなに近くで話をするのは初めてかもしれない。



