さっきまで冷たかった長瀬の手が、熱くなってるのに気が付いてドキリとする。


『嫌だったら、全力で止めてね』


長瀬の手が私の頬を撫でる。


反射的に肩をこわばらせれば、長瀬の指が私の顎を引いて……。


く、来るっ!!!!


ぎゅっと目を閉じた……その刹那。


『あなた達っ!?』


『!?』


長瀬の唇が私の唇に今にも触れそうな瞬間を、よりにもよって、融通が利かないと有名な教頭先生に………目撃されてしまった–––––。





––––そして放課後、こんな状況に至る…わけだ。


「あんまイライラすっと血圧上がるよ。おばさん」


「んまっ!誰がおばさんですって!?大体あなたは何でそういつもいつも…––––」


私と一緒に呼び出された長瀬は、こんなの慣れっこなんだろう。


教頭先生のネチネチした説教に対して、人差し指で両耳を塞いで対抗している。


その悪びれない態度がよほど頭にくるのか、教頭先生は何度も眼鏡を押し上げながらマシンガンのような説教を浴びせ続けている。


そんな様子を横目に、私は一人青ざめていた。



私が……気を抜いたからだ……。


よりにもよってあんな場面を目撃されてしまうなんて……。