『そうじゃなくて……っ!!』
また変な噂立てられるのは私だっつーの!!
と言おうとしたのに、その言葉は長瀬の唇によってさえぎられてしまった。
『…んっ!…っ!』
そのまま、校舎の壁に追い込まれて何度も何度も角度を変えて唇が重なる。
私の指に長瀬の冷たい指が絡まって、壁に張り付けられて動けない。
『…長……』
『……は…、センパイってさ、やっぱ俺のこと好きだよね』
『なん…っ』
『言わなくても、こうしてるとちゃんと分かるよ』
そう言って、長瀬が意地の悪い笑みを浮かべてくるもんだから、何だかいたたまれない気持ちになってくる。
こうしてる間にも、いくら物陰とはいえすぐそこは生徒達が行き交っている昇降口。
こっちは気が気じゃないっていうのに、なぜこいつはこんなに余裕なのか。
何かムカついてきた。
年下のくせにホント可愛くない。
そう思う一方で、もう少しこのままでも…なんて考えちゃう自分もいて、そんな自分にもほとほと嫌気がさす。
だから嫌だったんだよ。長瀬と付き合うなんて。
自分が自分でなくなるみたいで…ちょっと怖い。
「センパイ?そんな顔されると、やめてやれねぇんだけど」