「俺以上に、センパイを思ってるヤツ絶対いないよ」
恐らく、私の瞳にも長瀬しか映っていないんだろう。
「付き合おう。咲希センパイ」
–––––––降参だ。
「〜〜〜〜っ…わかったよっ…」
いつも無気力な長瀬が、一瞬目を見開いて、それから顔をクシャクシャにして笑う。
そんな顔見たらさ、この選択は間違ってないんだって思っちゃうじゃん。
後悔したっていいやって思っちゃうじゃん。
長瀬の唇が、一瞬私の唇に触れるとすぐに離れた。
「じらされた分、俺、歯止めきかないかもしれないから」
「……っ待って長瀬！」
「あーんして。センパイ」
「まっ……」
「もう待たない」
長瀬の深くて甘いキスが降りそそぐ。
この時私の頭の中は、すでに後悔でいっぱいだった。
まぁそれを言ったところで、もう逃れられやしないんだけど……ね。
