長瀬の言葉を遮るように張り上げた声は澄んだ青空に抜けていく。


しんとなるエントランス。


私を敵視する山吹さんの視線が痛い。


「……センパイ?」


「…長瀬は…しばらく、委員会出なくていいっ」



そう言葉を残し、3人に背を向けて足早に昇降口へと向かった。






何あれ。


まるで子供の八つ当たりだ。


私は何をこんなにイライラしてるのよ!



「花枝先輩!待って!」


手首を掴まれ、足を止める。


「……あ、浅木くん?どうしたの?」


直ぐに追いかけて来てくれたのかな?


少し上がった息の浅木くんが真剣な様子で私を見つめてる。


一瞬、本当一瞬だけど、もしかしたら長瀬が追いかけて来てくれたのかもって。


妙な期待をした自分に、渾身のアッパーカットを食らわせてやりたい。


「先輩…あの、一つ聞きたいことがあって…」


「聞きたいこと?」


私がそう聞き返すと、浅木くんは一度目を泳がせてから、意を決したような瞳を私に向けた。


「先輩は…渉のことが好きなんですか?」


へ?


……好き?


「…!!なっ…!」