「“触んな”って、花枝先輩は渉のものじゃないだろ」
あれ?と妙な違和感を感じた。
そっか。浅木くんが今、長瀬の名前を呼び捨てにしたからだ。
「は?俺のだし」
「っ違うからっ!!!!」
は!しまった!
つい条件反射でつっこんでしまった!!
長瀬が私にじとっと視線を向けてくる。
だ、だって本当のことだし!!
「……ぶ。だってさ。というわけで、お前に、文句言われる筋合いないんだけど?先輩から離れてくんない?」
「うるせー。センパイ。こいつに近寄ると妊娠するから絶対近付いちゃだめだよ」
「へ!?!?」
「な…っするかっ!つーかそれこっちのセリフだっつの!!お前ってヤツはほんと昔からなぁ!!」
真っ赤になってギャーギャー喚いてる浅木くんに、耳を塞ぎながら聞かぬふりをしている長瀬。
あれ?
なんかこの2人って案外……。
「長瀬おはよーーーー!!!!」
–––––––ドスッ!!
アメフト選手さながら長瀬にタックル…じゃなく抱きついてきたのは、今日も安定してフェロモンプンプンの山吹さんだ。
「いてぇよ」



