長瀬には、こうやって健全な人間と戯れる時間も必要だよね。
今までろくなヤツとしかつるんでなかったんだろうし。
まともな友達ができれば、コイツもちょっとはまともになるかもしれないし。
「楽しむもなんも…俺は行きたくねぇんだけど……」
ボソッと決まり悪そうに呟く長瀬がおかしくて、つい笑いそうになっていると。
「もぉ〜!長瀬ったら!長瀬がいなきゃはるかがつまらないんだよ!逃がさないんだからね〜!みんなで家におしかけちゃうよ〜?」
という甲高い声で、長瀬の腕を掴んだままのその存在を思い出した。
ちょっと山吹さん。
長瀬の腕に、胸を押しつけすぎじゃありゃしませんか?
嫁入り前の娘さんが、そんなはしたないっ。
しかもワイシャツのボタン開けすぎ!!
谷間!
谷間見えてるから!!
「やっだぁ〜!先輩どうしたんですかぁ??なんか顔が怖いですよ〜?」
「……!!い、いやっ!別に!!それじゃあ!!私、仕事あるからっ!!」
完全に敵意むき出しの山吹さんから逃げるように、私は2人に背を向け校舎の方へと歩き出す。
その後、何だかどうしても気になって、2人を盗み見るように振り返った。



