なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

前からも押し寄せてくるはずの人波は、さっきから長瀬の後ろにいる私達を避けて進んでいってる。


「さっきから何度も咲希のこと振り返ってははぐれてないか気にしてるし、あんた本当大切にされてるね〜」


「……」


また茉莉がニヤニヤといやらしい笑みを浮かべてくるのに、もう否定も何もできなかった。


長瀬に…大切にされてる?


胸の奥がじんわり熱くなって、顔まで熱を帯びてくる。


いやいやいやいや!


何だこの感じは!!


ありえないから!


長瀬にときめくとかありえないから!


そんな心の葛藤を抱えながらも、前を行く長瀬の背中を見つめる。


……きっと今日は長瀬が私服だからだ。


うん。そうだ。


だから、いつもと違った目線で見ちゃうんだよ。




長瀬の私服は、思ったより落ち着いている。


もっとこう、ヤンキーヤンキーしたダボダボの服装だと思ってたのに、長瀬の長い足を生かした細身のダメージデニムにカーキのファー付きダウン。腰にチェックのシャツを巻いて、足もとはシンプルなショートブーツ。


特別派手な格好をしているわけじゃないのに妙に様になっている。