なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

境内の中に入ると、思わず感嘆の息が漏れた。


非現実的な雰囲気って言うのかな。


提灯の灯りとか、お焚き上げの炎の灯りとか、普段と違った厳粛な雰囲気に気分が高揚する。


好きなんだよなぁ…。


こういう伝統的な雰囲気。


「俺、こういう雰囲気好き」


いつの間にか隣にいた長瀬がぽつりと呟く。


「日本人の血が騒ぐ感じ。分かる?」


そう言って長瀬が片方の口角を上げるから、つい私も口元が緩んでしまった。


金髪男が日本人の血とかよく言う。


でも、長瀬も同じこと感じてたんだって思うと、なんだか少し嬉しかった。



「わりー。やっと追いついた」


「金城くん。お疲れさま」


「よ!色男!彼女に手やいてるね〜」


「彼女じゃねーよ。ってあれ?荒木合流してたんだ」


山下さんの首根っこを掴み、心なしか息が荒い金城くん。


それまで、幸せそうに緩んでいた山下さんの表情が茉莉を見て一変する。


「そんな威嚇しなさんな。みんながみんなインテリメガネを好きだと思ったら大間違いだぞ。チビちゃん」


そんな山下さんの鼻をちょんっと触る茉莉。