なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。


「ごめん。待たせちゃった?」


「いんや〜?ちょっと早めに来てさ、さっきまでうちの兄ちゃんと屋台見て回ってたんだよね」



初詣をすると決まった日の夜、勉強の息抜きにとかかってきた茉莉からの電話で、ついその日あったことを愚痴ってしまった私は、後でとてつもなく後悔をした。


金城くんと山下さんの名前も確かに出したはずなのに茉莉は、“長瀬と初詣に行く”というところばかりにやたら食いついてきて、『面白そうだから、それ私も行くわ』と言って、有無を言わさず電話を切りやがった。


どうやらその後すぐに金城くんに許可をとったらしく、今に至るわけなのだが……。


「おー!本当に長瀬がいるよ!!なにこれ!女の子より綺麗な顔してる!!」


「誰あんた」


からむなからむなからむなー!!!


鳥居の麓に腰をかけ、怠そうにスマホを弄る長瀬の顔を茉莉はまじまじと観察し出す。


やめなさいって!


好奇心だだ漏れてるから!


「私は、咲希の大親友の荒木茉莉っていいます♡宜しくね長瀬くん♡」


「親友?…へぇ。どうも」


「よろしくしなくていいから!さっさと入るよ!!」


茉莉の腕を引っ掴んで、引きずるように境内の中へと足を踏み入れた。