なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。




山下さんの意向で、参道の脇に立ち並ぶ沢山の屋台を見ながら境内の中へと進んでいった。


参道は沢山の人で溢れかえっていて、人をかき分けながらかろうじて前に進んでいる状態。


そんな中、あっちこっち寄り道して迷子になりそうな山下さんを、金城くんが舌打ちしながら連れ戻すという一連の流れを、もうかれこれ3回は見た気がする。


小さい子供を連れた父親みたいな金城くんを気の毒に思いながらも、お世話されて嬉しそうに笑う山下さんの様子に自然と頬が緩む。


こんな時、ちょっと山下さんを羨ましく思う。


山下さんは、無邪気で素直で可愛くて、ついかまってしまいたくなる性格。


一方、私はつまらないくらい真面目で、意地っ張りで、可愛さなんて微塵もない。


まぁこの3年間、平和を守るための姿勢が私をそうさせたんだろうけど、とにかく可愛気がない自分が嫌になる時がある。


例えば、山下さんがはぐれてしまったら、みんなどこかで泣いてるんじゃないかって大騒ぎだろう。


だけど、私がはぐれてもしまったとしても、“花枝なら大丈夫か”ってみんな思うと思うんだ。


まぁ、実際泣くことはないと思うけどさ。


普通に大丈夫だろうけどさ。