なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。


「結構人多いのな」


「そ、そうね」


「……」


「……」



流れる沈黙。


うぐっ。


今は出来るだけ2人きりは避けたいのに…。


「センパイ」


「な、何!?」


「まだ、アレ続いてんの?」


「……なんのこと?」


一瞬、長瀬がなんのことを言ってるのか分からなくて眉を寄せ首を傾げる。


「半径2メートル以内に近付くなってやつ」


……え。


あぁ。そういえば、大掃除の時にそんなこと言ったっけ。


だからか。


何だかさっきから長瀬が近寄って来ないのは。


「当たり前でしょ!まだ続行中だから!」


「じゃあ、手繋ぐのもダメ?」


「つ、つつ繋ぐわけないでしょーが!!!」


長瀬はじっと私を見ると、諦めたように小さくため息をついて、私の横を通り過ぎていく。


「はぐれても探してやんねー」


「なっ……!」


私にべっと舌を出し、先を行ってしまう長瀬。


の、望むところだっつの!!


てか、はぐれたりしませんからっ!!


私をいくつだと思ってんの!!


「もうっ!ムカつく!」


私は小走りで3人の後を追った。