なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。


今なら何となくその意味が分かる。


数々の悪い人間を見てきた長瀬だからこそ働く嗅覚があるのかもしれない。


金城くんは、あのインテリイケメンフェイスとは裏腹に間違いなく何か真っ黒いものを持っている人間だ。


怖いよぅ。


あれは今年一番怖かったよぅ。


今年ももうすぐ終わるってのに、とんだ恐ろしい体験をしてしまったよ。





少し急な坂を上った先は、駅周辺とは打って変わって静かで見晴らしのいい丘になっていて、この辺でも一番大きな丘の上公園という公園がある。


それと隣接して、沢山の木々に囲まれた敷地内にあるのが、明神大神社だ。



公園の入口を通り過ぎたあたりから、夜だというのに人の行き来が激しくなってきて、それと同時に提灯の灯りが見え出始めた。


「お。やってるな」


「金城先輩!出店まで出てますよ!!すごいすごい!!何だかテンション上がってきました!!」


「お前はずっとテンション高いだろうがー。山下。すっ転ぶなよー」


ルンルン気分で先を行く山下さんの後を保護者のようについて行く金城くん。


私と長瀬を残して、先に敷地内へと入っていってしまった。