なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

そこまで言いかけると、金城君の視線にビクリと肩が上がる。


『え?なに?花枝来ないの?そんなわけないよな』


『え…私は…その…』


顔は笑ってる。


だけどこの人、目の奥が笑ってない。


背後に何か黒いものが見える。


おっと。悪寒までしてきたぞ。


『まさかと思うけど、自分は先に受験戦争から開放されたからって、これから受験する俺の合格祈願なんてするつもりはさらさらない…なんて、花枝はそんな冷たいヤツじゃないもんな?』


『あ…え…でも…』



『じゃないよな?』



『…………………はい』








というわけで、今に至るわけだが。


薄々勘づいてはいたけど、金城くんて絶対ヤバイ人だ。


あんな笑顔に殺傷能力をもつ人間はそうそういるもんじゃない。


そういえば、いつだったか委員の仕事中長瀬に『長瀬と金城くんて、仲いいの?』って聞いたことがある。


だって、校内にあんまり長瀬とまともに話す人なんかいないし。


それにしたって、長瀬も金城くんには懐いてるというか、警戒網を解いているというか。


そんな質問に長瀬は。


『ああいう人間は敵に回さないに限るから』


って、わけの分からないことを言っていた。