長瀬の手を思い切り振り払う。


『バカじゃないの!?付き合ってもないのに、そんなことするわけないじゃない!!』


『どうしても…ダメ?』


『ダメ!!ってか、その甘ったれた喋り方やめて!!いい!?これからは私の半径2m以内に入らないで!!』


思い切り長瀬との距離をとれば。


『たかがキスぐらいでキレすぎじゃね?舌入れたわけでもあるまいし』


拗ねたように口を尖らせ、睨んでくる長瀬。


………こいつ……。


女子の唇奪っといて何たる言い草なんだ。


もういいかな?


雑巾口に詰めてやってもいいかな?


『あれ?何、どうした?何かお前ら険悪じゃない?』


『花枝先輩!長瀬に何かされたんですか!?』


バケツを持って歩いてきた金城くんと山下さんが、火花を散らしている私達に気が付き足を止める。


『な、何でもないっ。さっさと掃除終わらせて帰ろう!』


長瀬の針のような視線を背中に感じながらも、窓拭きを再開することにした。


『あ。そうだ、花枝。お前31日あいてる?』


『!?金城くんまで一体何!?』


『何でそんなカリカリしてんだよ。あ、お前もだぞ長瀬』


ん?


長瀬も?