毎年、有志で集まった生徒達で行われている“校内大清掃"の指揮を取るためだ。


校内大清掃なんて、こんな時期にある学校の方が珍しいだろう。


この年末の忙しい時期に誰が学校の清掃までやりたがるんだって話なわけで。


毎年、集まるのはせいぜい美化委員の数名くらい。


うちの学校は校長が大の綺麗好きらしく、こういった活動が盛んなのも頷けるけど、ただそのたびに美化委員に指揮を取らせるのはやめてほしいと切実に思う。


今年は正直、参加自体もためらった。


だって……。



『なぁ、センパイ。この間からそのシカトやめてくんね?』



このエロガキヤンキー長瀬がいるからだ。



廊下にあぐらをかき、雑巾をクルクルと回している長瀬を、廊下の窓を拭きながら心底冷めた目で見下ろす私。


『……あんたさ。この間、私に何したか分かってる……?』


長瀬は斜め上に黒目を上げ、記憶を呼び起こしてる様子。


忘れたか長瀬。


もうすっかり忘れてるのかお前は。


この間って言ったら、クリスマスイブの日しかないだろ…!!


『あーあれ?キスしたや