何となくその長瀬の瞳の奥に、熱い何かが灯った気がした。


ゴクリと唾が喉を通っていく。



「……そこそこね」


「そこそこ?」


「後輩として、そこそこねっ」


「ふーん」


何を言ってるんだ私は。



取り返しのつかないことを口走ったと後悔した時にはもう遅かった。


長瀬が、私との距離をジリジリと詰めてくる。


「ちょっと近い!」


「センパイ…。やっぱりこの間のやつしてよ」


「な、なんのこと?」


「褒めて?ご褒美ちょうだい」


ぐ…。


ケジメつけたからってやつかっ!!


「ま、まだ言って…っ」


「ちゅーしていい?」


は…はぁぁぁぁ!?!?!?


「調子に乗るな!!ダメに決まってんでしょーがっ!!!!」


「ダメ。可愛いこと言ったセンパイが悪い」


「はぁ!?いい加減殴るよ!?」


いや!殴るのはダメだ!!コイツ怪我してやがるっ!!


そうこうしている間にも、長瀬の手が私の頬にそえられて、指で耳をくすぐる。


「……っ!」


「もう無理。我慢出来ない」


「長っ……」


逃げようとしたのに、首の後ろをグッと引き寄せられて。


「〜〜〜っ!!」


ついに、長瀬の唇が私の唇と重なってしまった。