「花枝さん。準備は大丈夫ですか?」
パテーションの外からヒョッコリと顔を出したのは村田先生だ。
「だだだだ大丈夫です!」
油をさしてないロボットみたいに立ち上がった私を見て、村田先生が破顔する。
「先生ヒドイです…」
「ごめんごめん!花枝さんあまりに緊張してるから!」
口元を押さえ、喉を鳴らして笑う先生に赤くなって恨めしい顔を向けていれば。
「それじゃあ、よろしくね。花枝さん」
そう言って先生は優しく微笑んで、クシャッと私の頭をなでて行ってしまった。
心地よく音を立てる鼓動。
長瀬の時なんかとは大違い。
いたたまれなくなるような、逃げ出したくなるような、苦しくて息が吸えなくなるような。
そんな気持ちになったりしない、優しい鼓動。
うん。
間違いないよ。
やっぱり私が好きなのは、先生だ。
*
「無事に点灯式が終わってよかったですねー!」
「花枝ガチガチだったな」
「金城くん。うるさいよ」
点灯式を終え、校内の開放時間も残すところ後わずか。
イルミネーションを見るために集まった生徒達も解散し、大分まばらになってきた。



