「センパイの大事なもんは、どんなもんでも全部守ってやりてーんだよ」
胸の中に、温かくて柔らかい風が流れ込んでくる。
意地とか、プライドとか、自分はこうあるべきだとか、そんなの全部溶かしてしまうような優しい風。
気が付けば私の頬を、涙が伝っていた。
長瀬が「センパイ…」と優しく呼ぶ。
「怖い思いさせて…ごめんね」
私は思い切り頭を振る。
何度も何度も。
長瀬はそんな私を引き寄せて、強く腕の中に押し込めた。
「私の方こそごめんっ…。ありがとう…っ」
「ふ。どういたしまして」
後から思えば、よくもまぁこんなに恥ずかしげもなく長瀬の前で泣いたもんだ。と思う。
この数分後には、激しい後悔の念に襲われたのは言うまでもないわけだけど。
少なくともこの瞬間は、長瀬がもの凄く頼もしく感じてしまったんだ。
年下なのに。
ヤンキーなのに。
生意気100%の純生意気で出来てる小僧なのに。
だけど、私はちょっとこの男を見直した。
「センパイ…可愛くてムラムラする」
本当、ちょっとだけだけど。
***
いよいよやってまいりました。
クリスマスイブです。



