ほら。また“何?”だ。
「何でもないよ」
「それ何?」
「あんた本当“何”しか言えないわけ!?」
と、ふいに私の手から拐われたのは、この間先生にもらったポインセチアの飾り。
せっかく頂いたものだし、願いはなくともツリーには飾ろうと思って、ずっと持っていたものだ。
「ちょ!返してっ!」
「これ、センパイが買ってきたの?」
「…ち、違うけど…」
「……じゃあ、誰かからもらったの?」
「……っ」
どことなく不機嫌そうに細められた目が私をじっと見つめてくる。
本当は分かってるくせに何で聞くの?
誰からもらったか、多分長瀬は分かってる。
もしかしたらあの日、私が先生から受け取るのを見ていたのかもしれない。
何となくそんな気がした。
じっと私を見つめていた長瀬がふっと視線を逸らし、「…ま。いいけど」と言って私にそれを返し、来た道を引き返そうとする。
「な…長瀬っ!」
「……何?」
「あ……いや……」
そんな長瀬を掴み、思わず引き止めてしまってハッとする。



