「あ。長瀬だ」
「げっ!」
金城くんのその言葉に、顔をしかめる山下さん。
その隣で、私はビクッと肩を揺らす。
「おーい長瀬!お前もちょっとは手伝え!」
「ちょっ…!!金城くん!!」
呼ばなくていいから!!
止めようとするも虚しく、長瀬はこちらに気が付いて、ポケットに手を突っ込んだまま、安定の気だるそうな様子でこちらに向かってくる。
「何してんの?」
「点灯式の準備」
「何それ」
「お前知らないのか?明日のイブ18時からコレつけるんだよ」
ふーん。と言ってツリーを見上げる長瀬。
金城くんて凄い。
あの長瀬と普通に会話をしてるわ…!!
「センパイも来んの?」
「え!?」
突然話をふられ、一瞬なんのことかと思えば。
「咲希センパイも、これ見に来んの?」
「あ…ツリー?来るもなにも、美化委員は点灯式を仕切らなきゃいけないから」
「ふーん」
相変わらず、何を考えてるか分からないやつだよなぁ。
基本無表情だし。
何?だの、何が?だの、ふーんだの。そればっかで、あんま喋んないし。
「何?」



