幼稚園の頃の私は絵本が大好きだった。


回りの子たちとももちろん遊んだりもしたが何よりも小説の世界観が大好きだった。

絵本の中のお姫様や、主人公はいつでも憧れで、美しく、清らかなものだった。

そして、私はずっと小説の主人公になりたかったんだ。


あのお姫様のように…あの魔法使いのように…


そんな私はいつも、同学年の子にバカにさ
れていたのを覚えている。


でもそんなときでもお母さんだけは、


「叶ちゃんがなりたいものになればいいんだよ」


といってくれたおかげで、やっぱり絵本が好きでいられた。



うまくいかなくても、絵本を読んでいるときだけは、まるで主人公になったきぶんになれるからだ。