「……オレたちには、いろいろ事情があって」
「あぁご両親のことだろ? 奈央ちゃんから聞いたよ」
奈央さん……こいつに、話したのか!?
胸の奥、ズキッと鋭い痛みが走る。
「でも、だったらなおさら、両想いになれたその幸運を大切にすべきじゃないのか?」
「……」
オレは何も言い返せず、唇を噛んだ。
……そうさ。
わかってる。
そんなこと……言われなくたって……!
「とにかく、俺は本気だから。本気で彼女のこと、欲しいと思ってる。彼女が俺を選んでくれたなら、絶対寂しい思いはさせない。少なくとも、お前よりはな。自信あるね」
そしてオレの顔をのぞきこむ。
その唇は、ニヤリと笑んでいた。
「ま、意外に簡単かもしれないな。まだ丸ごと、彼女を手に入れたわけじゃないんだろう?」
その言葉の含んだ意味を理解して。
オレはギクッと顔を上げた。
「な……んで……」


