桜は散る散る散るばかりさみしい花
そんな歌を口づさめば
「花が木を取り巻き咲くから櫻なんだよ」
よくそう言って慰めてくれたね
「そうするとあの木はあなたなのね」
あの時私はそう言ってゴツゴツした樹を優しくなでた
いつか誰かがお花になったあなたのまわりを囲うでしょう
いつか綺麗に咲くのでしょう
そして風が吹いていつか散ることになったとしても
ずっとずっと樹の幹だけは残るの
小さな小さな実を付けて今度は小鳥が囲うでしょう
最後に赤い葉も落ちて寒い冬を耐え抜けば
たくさん芽吹いて春になる
あなたを見る人たちは足を止め息をのむのでしょう
いつか誰かがお花になったあなたのまわりを囲うでしょう
いつか綺麗に咲くのでしょう