「このイベントに乗じて想いを伝えちゃおうって子いるでしょ。……あんたの彼氏、そこそこかっこいーんだから。

どーすんの、とられたら」

なおも言い募り、ぶすっと私にトドメをさした花。

ぐるっと首を回して親友の顔を見上げると、遠慮も何もなく「うわっ」と心底嫌そうに顔をしかめられた。

きっと凄く不細工な顔をしているのだろう。

「はなぁ〜っ」

名前を呼ぶと頼りになる親友ははぁっと息をついた。

「だからあんたもこれ、持ってきたんでしょうが」

そう言って指さす先を見ると、そこにはちょっぴりシワの入った薄桃色の紙袋。

……レースみたいな小さな飾りもついていて、傍目からも特別な人にあげるのだろうとわかるようなものを、わざわざ選んだのである。

「今年は本命だけしか作らない、とか言ってあたしにすら作ってくれなかったしー。

そんだけあんただって本気なんでしょ」

そう言って笑う花に私は思わず飛びついた。

「花っ、私今日は絶対頑張るから!せめて手を繋いで、な、名前……呼ぶくらいは!」