ためらいを吹っ切るように体当たり気味でがちゃりとドアを開けると、目の前には不機嫌そうな顔。

「……おそい」

目をしばしばとさせてふわぁっと欠伸をする彼氏くんに両手を合わせて謝ると、まあいいけど、とふいっと顔を逸らされた。

……うー、怒らせちゃったかな。

でも、今日はしょうがないんだよっ。私、今でも心臓ばっくばくなんだからね?


マフラーに顔を埋めて歩き始めた彼氏くんをぱたぱたと追いかけて横に並ぶと、彼氏はもう一度欠伸を零しながら口を開いた。

「もう2月だってのに、結構寒いな」

その言葉にどきりとしながら、私も小さな声で答える。

「そう、だね、もう2月、なのに」


2月。そう……2月なんです。

私はここでわざと『2月』を強調するように言葉を区切ってみる。

「ん?どうかしたのか?」

そんな私に彼氏くんが少し体をかがめて顔を近づけてきた。

小さな声で言った私も悪かったけど、

「うわぁああなんでもないー!」

ぐるんっと顔を真反対へ回してしまう。