そして……それを背にして佇んでいるのは、やっぱり。
「……いてくれ、たんだね」
「……当たり前だろ」
そんなふうに私に返事をよこす彼氏くんの声はやっぱり少し不機嫌で、私はうっと言葉に詰まってしまった。
そのままどうすることもできずにただじっとドアの所に立っていると、彼氏くんが長いため息をつく。
「帰るぞ」
それなのに、発したのはそんな短い言葉だけで。
ど、どうしようやっぱりすごく緊張する!
……でももうここで渡さなかったら、何もかもが手遅れになるような気がするのは、どうしてなんだろう?
ううう、と数度足を踏んだ私は、やっと覚悟を決めた。
よし、よし……もう、なるようになれ!
視線を私には合わせてくれないまま歩いてくる彼氏くんの前に、私は仁王立ちの要領で立ちふさがった。
ぎゅーっと上目遣いで睨む私を、どこか寂しそうに見つめる彼氏くん。
「何?」
そんな問いかけも、そっけなくて。
心が折れそうになった私は、ぎゅっと胸に抱えている紙袋を抱き締めた。
そのかさりという音に、やっぱり背筋が伸びる。
私は意を決して口を開いた。


