そこまで考えて私が違う意味で顔を火照らせた時、がたん!と教室のドアが大きな音を立てた。
私と相生くん、それに花が振り向くと、そこにいたのは―――
「あれは……彼氏くんかな?」
そう耳元で囁く相生くんの声に、ほうけていた私ははっとして背筋を伸ばした。
「あ、あのね!今から行こうと思ってた、んだけど……!」
そんな私の声に彼氏くんは私の方は見ずに相生くんの顔をじっと見つめて、何も言わずにまたドアをぴしゃりと閉めてしまった。
う、うそっ……!
思わず涙目になって花を再び見つめると、しょうがないなぁ、とでも言うように花はぱんっと軽く手を叩いて億劫そうに口を開いた。
「……あのね、相生くん。面白かったから黙って見てたけどね?
あたしの可愛い親友、いじめるのも大概にしてくれるかな?このままこの子を困らせるってなら、あたしとて許せないんだけど」
いつもどこか人を食ったような態度の花が、珍しく柳眉を逆立ててはっきりと怒りを表して相生くんを睨む。
そんな花をしばらくじっと見つめていた相生くんは、しばらくしてふうっと小さく息をつくと私から手を離した。
「……行きなよ」
「えっ、いいの?」
突然のことに思わずそんな言葉が口をつくと、相生くんはふはっとこらえ切れないように笑いをこぼす。
「いいの、とか、なんで聞くの」
「えっと……だって……」


