ううん、でも、私がこんなこと思う資格ない。
だって……私は何も行動を起こしてないんだから。よっぽど杏奈ちゃんの方が……
でも。
そんなことを思ったって、やっぱり嫌なものは嫌なわけで。
私は彼氏くんに擦り寄る杏奈ちゃんをもうまともに見られなくて、ぐるっと踵を返して走り出した。
そんな私に気がついた花がぎょっとした顔をして追いかけてきた。
「ちょ、ちょっと、待ちなさーい!」
「む〜り〜!」
すれ違う生徒達に怪訝そうな視線を向けられながらもぶんぶんっ、と首を振ると、花ははぁっと1度ため息を大きく吐いて、いとも容易く私の首根っこを捕まえた。
「全く、落ち着きなさいよ」
「だって……」
ずっ、とこっそり鼻をすすると、花がすっと遠い目をする。
「なんていうか……あんたら、面倒臭いわ」
「め、面倒臭いっ!?」
真剣な眼差しで放たれたそんな言葉に、私は素っ頓狂な声をあげた。
「面倒臭いってなに!確かに、私が不甲斐ないのは、認める、けど……」
花を見据えながら言い募ってみるものの、みるみる尻すぼみになっていく。
うー、とうずくまると、花が私をじとっと睨んでいた。


