「怖いよねぇ」

「これが今流行りのホラーゲーム?」

「そう!」


何気ない会話。

なんてことない、平凡な一日のほんの数秒を無駄にする。


「もー、ツマンナイ顔しないでよ!」

「もうプレイしたのか?」

「勿論!」


さらに数秒、無駄にする。

だが、夏生は嬉しそうだ。

満面の笑顔を浮かべて僕に話しかける。



「えへへ、まだ第一章なんだけどさ。概要を説明したげるね」


必要ない、と言ってもどうせ話は続くのだろう。

僕は宿題という名の作業を再開しながら、夏生の話を傾聴した。




返事は、相槌(あいづち)程度だったと思う。

話終えて満足したらしく、夏生は一息ついてから「帰ろっか」と僕に帰宅を促した。


「そうだな、帰るか」