優衣


「もってあと3年ほどでしょう。高校を卒業できるかがあやしいところです。」
お医者さんがそう告げる。母さんが隣で泣いている。父さんが母さんの肩を抱く。
「いまの技術では完治させることは難しいと思われます。。ですが、我々も最善を尽くしますのでーーーー」
泣き崩れる母
なぐさめる父
先生は申し訳なさそうに説明を続ける


なんだこれは。私は映画にでも出演したのだろうか。
とつぜん「3年後にあなたは死にます」なんて言われても、全く現実味がない
この数日間に私の身に何が起きたっていうんだろう

3日ほど前に高熱が出て、インフルエンザを疑った私は母に連れられて病院へ行った。
「入試前なのにあんたはもう、、、」
病院へ行くまでの車で、100回位このセリフを聞いた。このときはまだ私も母も、こんなことになるだなんて1ミリも思っていなかっただろう。
検査をした結果、インフルエンザではなかった。なかったのだが、、、

「ここではこの病気がなんなのか判断できません。紹介状を書くので総合病院へ行ってもう一度検査を受けてください。」

はい?なんですって。判断できない病気なんてあるの?私どこで何もらってきたのよもう。。。
そんなことを考えながら翌日、言われた通り総合病院で検査を受けた。結果が出るのに1日かかるそうなので、次の日も学校を休んで病気にいくはめになった。

高熱が出てから2日。熱はもう下がっていた
ので明日から学校に行く気まんまんだ った。だったのに、、、

「申し訳ありませんが、ここではこの病気がなんなのかはっきりわかりません。
〇〇病院に行って本格的に検査をしてください。」

デジャヴだ。しかも〇〇病院とか県内で一番大きい病院じゃない。てか、はっきりわかんない病気ってなに?私どーしちゃったの。ガンとか?まさか。
結局次の日も別の病院に行くことになってしまった。何故か父さんもついてきた。
で、長々と検査をされた結果が、あれ。

どうやら私がかかった病気は世界でも二桁くらいの人しか前例がなく、どの命も助かった試しがないという。体の先端から中心にかけて、少しずつ動かなくなっていくらしい。最後には脳が死に、心臓が止まり死に至るそうだ。

先生の説明は理解できる。理解しているはずなのに、、、
私はテレビを見ているような、小説を読んでいるような、そんな気にしかならなかった。