────10年後。
29歳になった。毎年あおくんのお墓にお参りにいく。
毎年会う、あおくんが助けた男の子は今はもう高校3年生になっている。
私は老けたよなぁ。来年はもう三十路だもん。
「菜緒ー」
今年も貴方のお墓に家族で来ています。
「まま! 迅(じん)くんは!?」
子供もいます。
そう、私、4年前に結婚しました。
あおくんへの想いが吹っ切れたわけではないけど、旦那はそれでもいいといってくれました。
息子の蒼(あおい)はあおくんが助けた男の子─迅くんにとても懐いてるよ。
息子に蒼って名付けるあたりが未練たらたらだよね。
でも私は一生涯忘れたくないから。
貴方への想いも、旦那への愛情も、息子への愛情も、迅くんのことも。
忘れたくないから。
ねえ、あおくん。
『愛してました』