【短】旅立ちの日に




「あなたは?」


「はい?」


「あなたは遊んだことがないのですか?」


彼女は暫くポカンとしていたが、ふるふるとかぶりを横に振った。


自分は歩くのを立ち止まった。


慌てて、彼女も立ち止まった。


顔を覗き込むようにする彼女をみて、自分はいたずらっぽく笑った。


「行ってみましょう」


「え?」


「ほら、参りましょう」


「え?あ、まって…」


自分は彼女の白く柔い手を引いて、小川へズンズン向かった。