【短】旅立ちの日に




自分は、ゆっくりと彼女を抱き寄せた。


離したくなかった。


いつまでも胸の中に抱いて置きたかった。


明るく未来を二人で歩んでいきたかった。


もう少しで、その夢が現実となったのに。


この不器用で優しい彼女を残していくのが不憫で。




「だから、約束です。待っていて下さいね。」


自分も涙声になっているのがわかった。