その日を境に、自分の職場が悪くなっていった。
激務に激務を重ねられるようになった。
そのお陰で、彼女と会える日を断り続けた。
更に上官のミスの際、何故か自分の名前が出ることが多く、よく罰を受けることがあった。
主幹が見るに見かねたようで「あいつと何かあったのか?」と聞いてきたが、
「何でもないです」といい、心配そうな顔をする主幹に敬礼した。
それでも主幹は口添えをしてくれたようで、激務は軽減されたが、上官からの執拗な嫌がらせは続いた。
自分が仕事をしている間に、上官は何度か彼女の元に訪れていたらしく、
彼女はとても怯えていた。
「…あれが本当に君の上官なのか?」
久々に自分が訪れると、彼女の父親は不思議そうに尋ねた。
「はい…」
そうか、と父親はため息をついた。
「あんな男に娘をやるつもりはない。君でよかったよ。しかし気をつけ給え。ああいう男はややこしいから」
「お心遣いありがとうございます。」
自分は丁寧に頭を下げた。