「ああ、本当に防空戦艦が……!」

林少将は感嘆の声をもらした。その一方で伯澤は舌打ちした。
目の前に、橿原が言った通りの姿をした防空戦艦がある。もはや遠江型の一番艦だ。

「輸送船団と工兵の皆さんが頑張ってくれました」

橿原は遠江を見せながら言った。

「そうらしいな……」

「今度は……対潜能力に優れた艦船が欲しいですね……」

建造中止になった軽巡洋艦の船体があると知ってか知らずか言ってくる。

「……勝手にしろ!」

伯澤は踵を返す。橿原の笑顔を思い出すと腸が煮えくり返る。
帰って行く伯澤を見て、建造していいと判断した。