ハルトはそれだけ言って
革靴のまま ズカズカと
リビングを渡り 奥の部屋へ


「おい!ハルト!!」


「少し、会いに行って来る
会社なんて休んでいいから
岡田君、月姫を見ててね」


「ま、 ちょっ?!」


「ハールート … 今、真夜中だぞ」


今の騒ぎで、真木も起きて
元々そんなに深くは
眠っていないのかもしれなかったけど…




… ハルトは、月姫を抱き
ホンットーーに冷ややかな眼で
ソファに立ったままの真木を、見つめて

真木は真木で、ジッとハルトを見て
すごく空気の張り詰めた…睨み合いに…


ど、どうすればいいんだ 俺は…



… 先に

視線を外したのは 真木だった




「ハルト
ちょっとくらい、事情話せや
な?お願いします

オレも少しは絡んでるし
正直、何でなのか 知りてえんだ」


すると何故か
さっきよりももっと表情を
氷みたいに 変えるハルト



「… お手本通りの
"人を陥落させる会話の仕方"
俺に使って、利くとでも?」


「――… だ〜〜〜〜っ!!
なんだそれ違ええって!!!
オレだってマジで…
月姫の事は、カワイイんだよ!
…っつか最近、可愛くなって来たの!!」




ふて腐れたみたいに
吐き捨てた真木を見た途端
ハルトがフッと、表情を崩した


「正直だね

で?岡田はどうするの

…この子がキミの子じゃないのは
ほぼ確定したし

もう ここに居る必要は無いよ」