「岡田、それでな」


「は、はいっ!!」


「全部を全部
お前一人でやるわけじゃないんだから
そんな、テンパるな」


「…すいません」




「ここから先は、僕から話しますね
依頼は、来年デビュー予定の
"ビー玉"というガールズバンドの
プロモーションビデオです」


「…はい」



「提示された予算は五百万
岡田君は初監督なので
助監督を、ベテランの原崎くんに
お願いするといいと思う

カメラは岡田君が回すとして
アシスタントは誰がいいかな?

音響、照明は
後日、先方と相談しないといけないし
ロケをするなら実働部隊編成
スタジオで撮る場合もあるなら
予約をとらないといけないね」


「………」


「いつもの事だよ

皆、この件は承知しているし
いつも君がやってくれてる
お弁当の手配とか、機材の用意等
大事な雑務は、もちろんやります」




「岡田」


「…はい」


「まず、お前が考えなきゃいけないのは
"何を、撮りたいか"だ」


「―…あ」