陽だまりの林檎姫

ああ、最高の贅沢だ。

そう心の中で呟いて微笑んだ。

「ダンにもお礼を言ってくださいね。」

「ダン?」

疑問符だらけの北都の声に栢木は笑って頬をすり寄せた。

光溢れる薬草園はまるで2人のこれからを祝福しているよう。

互いの体温を十分に確かめ合ったあと、どちらともなく体を離して2人はキスをした。

何度も、何度も、何度も。

抑えていたものを解き放つようにお互いに求めあって何度も重ね合う。

「…ふふ。」

息を整えるために離れた際、栢木は思わず笑みをこぼした。

幸せだ。

まるで永遠の誓いのようだと笑う栢木の手を取り、北都は彼女の甲に口付けた。

それは貴公子の様。

「相麻…北都さん。」

改めてその名を呼ばれ北都は不思議に思いながらも顔を上げた。

目に涙を浮かべながらも栢木は誇らしげに微笑んでくれている。

ああ、そうか。

納得の言葉を胸の内で呟いて北都は笑ってしまった。

北都がまだ相麻を名乗っている事に栢木は喜んだのだろう。

過去の自分を捨てるのではなく、全て受け入れ前に進む覚悟を感じてくれたのだ。

「そう言えばまだ昼食をとっていなかった。」

「私もです。」

「さっき買ったサンドウィッチがあるが食べるか?」

「はい!」