陽だまりの林檎姫

必死で北都を探し求めた。待っていると信じることが栢木の原動力で、それは自惚れから生まれたものだ。

どれだけ月日が経っていてもきっと北都は待っていてくれる。

「多分…俺の方がずっと気持ちが強い。」

そう言って北都は両手を伸ばし栢木を引き寄せ抱きしめた。

頬に触れた北都の胸から心臓の音が響いてくる。

「これから苦労をかけると思う。以前の様に金もないし、住む所も研究室を間借りしている。」

「お金なら北都さんが私にくれた小切手があります。」

「あれは社長が俺にくれた退職金だ。そうか、それなら部屋が借りられるな。」

北都も意外と庶民的な考えの持ち主だという事が分かり栢木は思わず噴き出して笑ってしまった。

「傍にいられれば、それでいいです。私は私でちゃんとやりたいことは見付けますから。」

「頼もしい。」

「国の端から端まで動く女ですよ?」

「そうだったな。」

北都は栢木の頭に顎を乗せて呆れたような声を出す。

いつかの様に栢木の髪を手で梳いてその感触を楽しむと、思いが込み上げその手を握りしめた。

「やっと…手に入れた。」

頭を下げてより強く栢木を抱きしめて絞り出すように囁く、その声の切なさに栢木はまた一筋の涙を流した。

その思いは自分も同じだと答える様に頭をすり寄せる。

「これからずっと一緒にいよう。」

「はい。」

「来てくれてありがとう、栢木。」

私の方こそ、その思いを込めて栢木は首を横に振った。

北都の背中に回した手に力を入れて精一杯引き寄せる、少しの隙間も作りたくなかった。