陽だまりの林檎姫

季節が変わったから取り替えるのだとマリーが言っていた。

確かに絵が変われば随分と気分も変わるから不思議だ。

ミライから絵画を受け取った栢木は隣の部屋にある絵画や骨とう品の倉庫へと向かった。

絵画の汚れを丁寧に拭き取り状態を確かめる。

保管されていた箱を取り出して布をかぶせると慎重に収めていった。

元の位置に返せば完成だ。

「ふう。」

気を遣う作業を終えると解放感からのため息が出てしまう。

その場に立ち上がり伸びをすれば天井にある秘密基地への扉が目に入った。

あの日の北都の姿が鮮明に思い出される。

随分と柔らかい空気を出してくれるようになった、会話も増えて表情も豊かになった。

互いに手が触れ合う機会もあった。

それだけでも最初の頃から比べると大きな変化だろう。

栢木の事件が解決して以降、北都はすっかり元の生活に戻って研究室にこもりきりになった。

いつもより集中する期間が長い気もする。

キリュウの病院から屋敷に戻った栢木を迎えてくれたのは寝ずに待っていてくれたマリーだった。

北都に無事であることを知らされたとはいえ、その目で確かめるまでは不安だったらしい。

玄関先で無傷なことを確かめたら疲労と安堵の表情で抱きしめてくれた。

すると階段の踊り場あたりからこちらを見つめる北都に気が付き、栢木は笑みを浮かべ近付いていく。

北都の部屋でキリュウの様子を伝えると北都は何度か頷いて回復を願う言葉を漏らした。

どうやら気を利かせたタクミが栢木の事は必ず守るから屋敷で待つようにと北都に伝えていたらしい。

マリー同様、確かに屋敷に戻るまで不安だった北都は栢木を抱きしめた。

後頭部に手を回してしっかりと引き寄せるように力強く抱きしめられ、栢木は解放感も手伝って幸せな気分に浸れた。